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【ピーチライン編第1章第23話】あっけない戦いの終わり

夜の畑に、タイタン校長の陽気な声が響き渡った。

「それと!生徒会長として任務お疲れさま!やはりお前は俺が見込んだ理想の会長だ!」

タイタンは満面の笑みでにゃももを褒め称えた。しかし、にゃももの顔には疲労の色が濃く出ていた。

「やめてくださいよ…それに、入学していきなり生徒会長になる学園はどこに存在するんですか…もうこの2日間がカオスすぎてもうへとへとですよ」

にゃももは、タイタンの言葉に呆れながらも本音を漏らした。足元を見ると、土のついた畑の中に立ち尽くしていた。

「にゃももさん、ここ畑ですよ!自慢の白い靴下が汚れちゃいますよ!」

くろとがにゃももの足元を見て注意した。にゃももは慌てて地面から足を上げた。

「うわうわうわ!?」

にゃももは周りを見渡し、今回の騒動の結末を振り返った。

「なんというか…思っていた展開と比べて…あっけなく解決しちゃいましたわね」

ごうとの母親がログアウトして逃走し、事件は一応の解決を見た。劇的な逮捕劇があったわけでもなく、拍子抜けするような終わり方だった。

「まあアニメ最初のストーリー展開的にそんなもんだろ!いきなりラスボス級の敵が来たらこの学園終わるわ」

タイタンは、まるで物語の解説者のように言った。にゃももは心の中で(いろんな意味で終わってますけど…)とツッコミを入れた。生徒会長にされたり、自由すぎる学園生活を送ったりと、すでに十分カオスなのだ。

「まあ今回は幸いにも獣やモンスターとか現れなくてよかったな…」

タイタンの言葉に、にゃももは思わず眉をひそめた。

「え…それどういう意味!?」

「いや、あくまでも最悪なケースの話だ!学園は学ぶところだから、こういう平和的にしておかないとな」

タイタンは慌ててそう言ったが、にゃももは彼の言葉の真意がどこにあるのか、少し気になった。この学園には、まだ何か隠された危険があるのだろうか。


目次

ごうとの今後とタイタンの思惑

にゃももは、ごうとのことを思い出し、タイタンに尋ねた。

「そういえば、ごうとくんはどうしましょうか…?」

ごうとは、にゃももの隣に立つタイタンをちらりと見て、にゃももに再び向き直った。

「俺様はにゃももママと一生ついていきます!」

ごうとの言葉に、にゃももはまたもや顔を赤らめた。

「いやいや何度も言うけど私だって未成年だよ!?メタバースの世界はともかく、さすがにリアルのあなたの生活を見ておく余裕がないよ…」

にゃももは、現実的な問題を指摘した。いくらこのメタバース世界で生徒会長になったとはいえ、現実世界での彼の生活まで面倒を見ることはできない。

タイタンもにゃももの言葉に同意した。

「ああ、にゃももの言うとおりだ。今の俺自身、現実の自分自身を見るのが精一杯だ。助け合いの要素がない」

タイタンの言葉は、にゃももに少しだけ意外だった。彼はこの学園の校長であり、何でもできるかのように見えたが、彼にも限界があるということなのだろうか。

「俺も一部始終見ていたから、ごうとのことは放っておけない。なんとかしたいと思っている」

タイタンは、真剣な表情でごうとを見つめた。彼の言葉には、本心からの優しさが感じられた。

「くろと、悪いけどごうとのやつの保護の手続きをするように頼む」

タイタンの指示に、くろとは「わかりました」と一言、迷いなく答えた。

「ちぇ…学園に泊めれないのか!?」

ごうとは不満げに言った。この学園であれば、寝泊まりする場所くらいは提供できるのではないか、と思ったのだろう。

「本当は居場所を提供したいところだが、現実の土地はあくまでも国から借りた場所にあるところだ。これについては法に従うしかない

タイタンは、珍しく真面目な顔で説明した。このメタバース世界も、現実世界の法と完全に無関係ではないらしい。特に、現実の土地や設備に関わることとなると、法的な制約を受けるということだろう。

「なんだかよくわかんねぇけど、校長の権力でも無理、というわけか」

ごうとは、不満ながらもタイタンの言葉を受け入れたようだった。

「そういうことだ。理解してくれ」

タイタンは、ごうとの肩を軽く叩いた。


事件の結末とタイタンのメッセージ

「さて、二人とも疲れただろう!あとは俺らに任せて、ゆっくり休んでくれ。くろと、後で二人に回復効果となる料理を出してくれ」

タイタンは、にゃももとごうとに労いの言葉をかけた。くろとは「わかりました」と返事をした。

ごうとは、タイタンに最後の質問をした。

「校長は、あの女に何かをするつもりなのか?」

ごうとの言葉は、憎悪に満ちている。

「マキノをこれまで起こした窃盗について、相応な処分を下さなければならない。もちろん法的処置としてな」

タイタンの言葉に、にゃももは頷いた。ごうとの母親であるマキノは、確かに罪を犯したのだ。

「難しくてよくわかんねぇけど、お仕置きをするということか」

ごうとの稚拙な言葉に、タイタンは小さく笑った。

「それであっているぞ」

タイタンは、マキノへの処罰が、ごうとにとっての「お仕置き」と理解されるのであれば、それで十分だと思ったのだろう。

タイタンは、にゃももとごうとに背を向け、校舎へと歩き出した。その背中は、どこか寂しげに見えた。くろとが、その後ろを静かについていく。

「それとごうと、出る前に一つお前に伝えたいことがある」

タイタンは立ち止まり、振り返ることなく、ごうとに語りかけた。

守りたい奴は、全力で守れ。死に物狂いでな

その言葉は、ごうとの心に深く刻み込まれた。タイタンは、ごうとの発言を鑑みて、彼に未来へのメッセージを贈ったのだ。

タイタンは、そのまま校舎へと消えていった。

きっと今回の件で、タイタンは急遽、多くの仕事を行うことになったのだろう。

ごうとの母親の逮捕、そしてその後の法的処置、さらには学園内のシステム問題の改善など、山積みのタスクがあるに違いない。

犯人であるごうとの母親、マキノは、その場では捕まらなかった。

しかし、ブロックチェーン技術によって足はついており、時間の問題だろう。

にゃももは、入学してまだ2日目ということもあり、マキノ先生とは面識がない。

だが、この入学してからの2日間は、にゃももの人生において、いかにストーリーに深く刻まれるほど重要な出来事だったかは間違いなかった。

にゃももは、ごうとの隣に立ち、夜空を見上げた。

これから始まる生徒会長としての生活は、きっと想像を絶するような出来事の連続だろう。

だが、彼女はもう一人ではない。ごうとという、新たな「弟子」もできた。そして、この学園に潜む謎を解き明かすという、彼女自身の使命もある。

にゃももの、TITAN学園での波乱万丈な物語は、まだ始まったばかりだ。

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