KUROTO– Author –
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【スカイブルーライン編第1章第9話】向こう人から見ればお金は異世界の通貨しか見えない
しばぬんの「えええええええええええええええ!?」というすいれんの驚きの声が響き渡る中、授業は進んでいく。すいれんは、自分たちが普段使っているものが「仮想通貨」であり、タイタンたちが使う「日本円」のようなものが、この世界では「形ある異世界... -
【スカイブルーライン編第1章第8話】仮想通貨マニアックのしばぬんちゃんだよー!
TITAN学園の校舎の一室。今日はすいれんがお金についての授業を受ける日だ。本来なら、この授業はすいれんの兄であるゴールドコインが担当するはずだった。しかし、教室の扉が開き、そこに現れたのは、彼の代わりに立つ、予想だにしない人物だった。 金髪... -
【スカイブルーライン編第1章第7話】昭和のお金の価値観はこのメタバースに再現される
夕食は、昨日タイタンがスーパーで衝動買いしたステーキだった。ジューシーな肉厚のステーキが皿に盛られ、香ばしい匂いがダイニングに満ちる。 しかし、くろとの表情はどこか複雑だ。食事がひと段落した頃、くろとはタイタンにお金に関する自身の疑問を投... -
【スカイブルーライン編第1章第6話】すいれんとおじさんの買い物2
タイタンとすいれんは、賑やかなスーパーマーケットの入り口に立っていた。Virtualprimitiveが生み出したこのメタバース空間では、ネットスーパーやECサイトとは異なる、現実さながらの買い物の楽しさがそこにはあった。ずらりと並ぶ色とりどりの商品、漂... -
【スカイブルーライン編第1章第5話】すいれんとおじさんの買い物
「ふううう…くろとは相変わらずがみがみしすぎて疲れる…」 前回のスライム事件の懲罰は、いまだに私の心に重くのしかかっていた。お菓子禁止令は解除されたものの、くろとの「お小言」は、日を追うごとにエスカレートしている気がする。まるで、私の行... -
【ピーチライン編第1.5章プロローグ】縁の下の力持ちの失踪
「くろと、朝食はできたか?」 俺の声が響く。いつもならすぐに「はい、タイタン様」という返事が返ってくるはずなのに、今朝はシン、と静まり返っていた。いつも漂っているはずの焼きたてのパンの香ばしい匂いも、淹れたてのコーヒーの芳醇な香りもない。... -
【ピーチライン編第1章最終話】次のアップデート
「それで、今日の生徒会をやってみて、二つ気になったことがあるの?」 にゃももは、切り出すようにタイタンに尋ねた。ごうとの件を通して、タイタンの持つ「公正さ」の概念と、今後の学園の方向性について、さらに深く知りたいという思いがあった。 「な... -
【ピーチライン編第1章第25話】小嵐後の明けさ
TITAN学園での波乱に満ちた2日間から、あっという間に1か月が経過した。 にゃももは、この学園での生活にすっかりと慣れてきていた。 個性豊かな生徒たちに最初は戸惑ったものの、彼らが根は皆、友達思いであることを知るにつれ、にゃもも自身も学園に深く... -
【ピーチライン編第1章第24話】謎の組織1
マキノはTITAN学園の農業部からログアウトすると、すぐに自宅のPCを切った。 顔には恐怖と焦りが浮かんでいる。接続先は、彼女が所属する謎の組織の、とある秘密会議室のサーバーだ。ホログラムで映し出された空間には、マキノの上司らしき人物が険しい表... -
【ピーチライン編第1章第23話】あっけない戦いの終わり
夜の畑に、タイタン校長の陽気な声が響き渡った。 「それと!生徒会長として任務お疲れさま!やはりお前は俺が見込んだ理想の会長だ!」 タイタンは満面の笑みでにゃももを褒め称えた。しかし、にゃももの顔には疲労の色が濃く出ていた。 「やめてください... -
【ピーチライン編第1章第22話】真の盗み
夜の帳が下りた農業部の畑で、にゃももとごうとの目の前に現れたのは、まさかのごうとの母親だった。 彼女は、にゃももが「新生徒会長」であることを知っている教師だと名乗り、ごうとは彼女が偽りの母親であること、そして学園の教師に化けていたことを告... -
【ピーチライン編第1章第21話】犯人!?
ごうとから得た情報をもとに、にゃももは農業部へと向かうべく、再び学園の校舎へと足を踏み入れた。昼間とは打って変わって、夜の学園は静まり返っている。しかし、主要な校門の前には、依然として警備が張られているのが見えた。 「このままじゃ入れない... -
【ピーチライン編第1章第20話】うち明かす自分の特性
ごうとはベンチに座り、重い過去をにゃももに打ち明けた。彼の言葉は、にゃももの胸に深く突き刺さった。彼がなぜ今のようになったのか、その根源にある悲しみと苦しみが痛いほど伝わってきた。 「それからっていうもの、俺は暴力が抑えられなくなっていた... -
【ピーチライン編第1章第19話】想像する絶望の過去2
「それから、俺の人生は完全に崩壊し始めたんだ」 ごうとの声は、先ほどよりもさらに暗く沈んでいた。最愛の親を失った後、彼を待っていたのは、さらなる絶望だった。 「しばらくして、俺は親戚のところへ引き取られることになった」 にゃももは、ごうとの... -
【ピーチライン編第1章第18話】想像する絶望の過去1
夜のリーブパーク。虫の鳴き声だけが響く静寂の中、ごうとは重い口を開き、自らの過去を語り始めた。その話は、にゃももが想像していたものとは、大きくかけ離れていた。 今の暴力的で傲慢なごうとの姿からは想像もつかない、臆病で弱い少年の姿が、彼の言... -
【ピーチライン編第1章第17話】となりで
ごうとが意を決した様子で「腹を括って話す」と言った後、にゃももは彼の隣にあるベンチにそっと腰を下ろした。夜風がそよぎ、リーブパークの木々がざわめく音が耳に心地よい。にゃももが座った瞬間、ごうとの鼻腔をくすぐる、ふわりとした優しい香りがし... -
【ピーチライン編第1章第16話】後を追う
自宅からワープ機能を使わず、徒歩で学園の敷地へと向かったにゃももは、タブレットのマップを片手に、農業部がある区画へと忍び足で進んでいた。夜の学園は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。風が木々を揺らす音や、遠くで虫の鳴く声だけが、そ... -
【ピーチライン編第1章第15話】準備
昼食を終え、にゃももは再び生徒会室へと足を向けた。TITAN学園は自由授業が基本だが、生徒会長としての仕事があるため、にゃももの午後は生徒会活動で埋まることになった。 本格的な「普通の授業」を受けるのは、どうやら明日以降になりそうだ。 学園に入... -
【ピーチライン編第1章第14話】良くない噂話
にゃももたちは料理部が運営する中華店へと足を踏み入れた。店内は活気に満ちており、食欲をそそる香りが漂っている。席に着くと、店員が笑顔で声をかけてきた。 「ご注文がお決まりでしたら、この学園タブレットで押してください!なお、当店は注文するご... -
【ピーチライン編第1章第13話】開放の昼休憩
にゃももが、自分を取り囲む生徒たちの視線に戸惑っていた、その時だった。人混みをかき分けるようにして、一人の紫髪の女性が現れた。彼女は、にゃももの前に立ち、周囲の生徒たちを一瞥した。 「ほれ!彼女に憧れる気持ちはわかるけど、そもそも今昼休み...