ピーチライン編– category –
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【ピーチライン編第1.5章プロローグ】縁の下の力持ちの失踪
「くろと、朝食はできたか?」 俺の声が響く。いつもならすぐに「はい、タイタン様」という返事が返ってくるはずなのに、今朝はシン、と静まり返っていた。いつも漂っているはずの焼きたてのパンの香ばしい匂いも、淹れたてのコーヒーの芳醇な香りもない。... -
【ピーチライン編第1章最終話】次のアップデート
「それで、今日の生徒会をやってみて、二つ気になったことがあるの?」 にゃももは、切り出すようにタイタンに尋ねた。ごうとの件を通して、タイタンの持つ「公正さ」の概念と、今後の学園の方向性について、さらに深く知りたいという思いがあった。 「な... -
【ピーチライン編第1章第25話】小嵐後の明けさ
TITAN学園での波乱に満ちた2日間から、あっという間に1か月が経過した。 にゃももは、この学園での生活にすっかりと慣れてきていた。 個性豊かな生徒たちに最初は戸惑ったものの、彼らが根は皆、友達思いであることを知るにつれ、にゃもも自身も学園に深く... -
【ピーチライン編第1章第24話】謎の組織1
マキノはTITAN学園の農業部からログアウトすると、すぐに自宅のPCを切った。 顔には恐怖と焦りが浮かんでいる。接続先は、彼女が所属する謎の組織の、とある秘密会議室のサーバーだ。ホログラムで映し出された空間には、マキノの上司らしき人物が険しい表... -
【ピーチライン編第1章第23話】あっけない戦いの終わり
夜の畑に、タイタン校長の陽気な声が響き渡った。 「それと!生徒会長として任務お疲れさま!やはりお前は俺が見込んだ理想の会長だ!」 タイタンは満面の笑みでにゃももを褒め称えた。しかし、にゃももの顔には疲労の色が濃く出ていた。 「やめてください... -
【ピーチライン編第1章第22話】真の盗み
夜の帳が下りた農業部の畑で、にゃももとごうとの目の前に現れたのは、まさかのごうとの母親だった。 彼女は、にゃももが「新生徒会長」であることを知っている教師だと名乗り、ごうとは彼女が偽りの母親であること、そして学園の教師に化けていたことを告... -
【ピーチライン編第1章第21話】犯人!?
ごうとから得た情報をもとに、にゃももは農業部へと向かうべく、再び学園の校舎へと足を踏み入れた。昼間とは打って変わって、夜の学園は静まり返っている。しかし、主要な校門の前には、依然として警備が張られているのが見えた。 「このままじゃ入れない... -
【ピーチライン編第1章第20話】うち明かす自分の特性
ごうとはベンチに座り、重い過去をにゃももに打ち明けた。彼の言葉は、にゃももの胸に深く突き刺さった。彼がなぜ今のようになったのか、その根源にある悲しみと苦しみが痛いほど伝わってきた。 「それからっていうもの、俺は暴力が抑えられなくなっていた... -
【ピーチライン編第1章第19話】想像する絶望の過去2
「それから、俺の人生は完全に崩壊し始めたんだ」 ごうとの声は、先ほどよりもさらに暗く沈んでいた。最愛の親を失った後、彼を待っていたのは、さらなる絶望だった。 「しばらくして、俺は親戚のところへ引き取られることになった」 にゃももは、ごうとの... -
【ピーチライン編第1章第18話】想像する絶望の過去1
夜のリーブパーク。虫の鳴き声だけが響く静寂の中、ごうとは重い口を開き、自らの過去を語り始めた。その話は、にゃももが想像していたものとは、大きくかけ離れていた。 今の暴力的で傲慢なごうとの姿からは想像もつかない、臆病で弱い少年の姿が、彼の言... -
【ピーチライン編第1章第17話】となりで
ごうとが意を決した様子で「腹を括って話す」と言った後、にゃももは彼の隣にあるベンチにそっと腰を下ろした。夜風がそよぎ、リーブパークの木々がざわめく音が耳に心地よい。にゃももが座った瞬間、ごうとの鼻腔をくすぐる、ふわりとした優しい香りがし... -
【ピーチライン編第1章第16話】後を追う
自宅からワープ機能を使わず、徒歩で学園の敷地へと向かったにゃももは、タブレットのマップを片手に、農業部がある区画へと忍び足で進んでいた。夜の学園は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。風が木々を揺らす音や、遠くで虫の鳴く声だけが、そ... -
【ピーチライン編第1章第15話】準備
昼食を終え、にゃももは再び生徒会室へと足を向けた。TITAN学園は自由授業が基本だが、生徒会長としての仕事があるため、にゃももの午後は生徒会活動で埋まることになった。 本格的な「普通の授業」を受けるのは、どうやら明日以降になりそうだ。 学園に入... -
【ピーチライン編第1章第14話】良くない噂話
にゃももたちは料理部が運営する中華店へと足を踏み入れた。店内は活気に満ちており、食欲をそそる香りが漂っている。席に着くと、店員が笑顔で声をかけてきた。 「ご注文がお決まりでしたら、この学園タブレットで押してください!なお、当店は注文するご... -
【ピーチライン編第1章第13話】開放の昼休憩
にゃももが、自分を取り囲む生徒たちの視線に戸惑っていた、その時だった。人混みをかき分けるようにして、一人の紫髪の女性が現れた。彼女は、にゃももの前に立ち、周囲の生徒たちを一瞥した。 「ほれ!彼女に憧れる気持ちはわかるけど、そもそも今昼休み... -
【ピーチライン編第1章第12話】再び現る
生徒会室での怒涛のオリエンテーションを終え、にゃももは昼食を取るためにレストラン街へと向かった。ワープ機能を使えば一瞬で移動できるものの、にゃももは敢えて徒歩を選んだ。 この広大な学園に少しでも慣れておきたい、という思いがあったからだ。ブ... -
【ピーチライン編第1章第11話】正式に生徒会長として…
翌日。TITAN学園でのにゃももの2日目が始まった。 目覚めると同時に、にゃももは学園に向かうため着替えを始めた。無意識のうちに手に取ったのは、昨日も着ていたあのピンク色のジャージだった。特別な理由があるわけではないが、なぜかそのジャージは肌触... -
【ピーチライン編第1章第10話】その頃のすいれんたちは
にゃももがワープ機能で自宅へと帰っていった頃、TITAN学園の校長室では、くろと、タイタン、そしてすいれんの3人が残っていた。 「無事に帰りましたわね…」 くろとは、にゃももが消えた空間を見つめながら、ほっとしたように呟いた。彼女の表情には、一日... -
【ピーチライン編第1章第9話】1日目の振り返り
温かい湯気が立ち込めるバスルームに、にゃももの小さな独り言が響く。TITAN学園での初めての一日が終わり、ようやく自分の時間を取り戻したにゃももは、ゆったりと湯船に浸かりながら、今日あった出来事を一つ一つ思い返していた。 湯の温かさが、張り詰... -
【ピーチライン編第1章第8話】ヒロイン気取り!
すいれんに導かれ、TITAN学園の校内をさらに奥へと進んでいたにゃもも。学園の広大さと多様な施設に驚きつつも、どこか自分でもこの環境に慣れてきているような不思議な感覚があった。その時、ふと、前方に人だかりが見えた。何やら騒がしい声が聞こえてく...
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