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【ピーチライン編第1章第13話】開放の昼休憩

にゃももが、自分を取り囲む生徒たちの視線に戸惑っていた、その時だった。人混みをかき分けるようにして、一人の紫髪の女性が現れた。彼女は、にゃももの前に立ち、周囲の生徒たちを一瞥した。

「ほれ!彼女に憧れる気持ちはわかるけど、そもそも今昼休みの時間。彼女の時間を奪うのではない!」

女性の声は、凛としていて、それでいてどこか威厳があった。生徒たちは、その声を聞くと、まるで魔法が解けたかのように、すぐにざわめきを収めた。

「あなたは!ゲーム部長!?」

生徒の一人、あいが驚いたように叫んだ。

「ゲーム部!?の部長!」

にゃもももまた、驚きを隠せない。ブラウニーから、この学園には様々な「部活」があるとは聞いていたが、まさかこんなところで出会うとは。

紫髪の女性は、フッと笑みを浮かべた。

「ほら!わかったなら自分の時間に挑むんだな」

彼女の言葉に、生徒たちは「はーい!」と元気よく返事をして、それぞれの場所へと散っていった。あっという間に、にゃももの周囲には空間が生まれた。

「ほれ、もう通れるはずだから!」

女性はにゃももに道を譲るように促した。にゃももは、彼女の毅然とした態度に感謝の気持ちが湧き上がった。

「ありがとうございます…」

「あなたのことはすいれんやブラウニーに伝えられています。もし時間があれば、ゲーム部へ足を踏み入れていくことも推奨いたします

女性はそう言って、にゃももにウインクをした。

「宣伝か??」

にゃももは思わず呟いた。まるで、ゲーム部の勧誘のようだった。しかし、彼女のおかげで、にゃももは一息つくことができた。


目次

昼食の探索とにゃもものお友達

そんなこんなで、にゃももは改めて昼食を探しに、レストラン街を歩き始めた。学園内の至る所に店が並び、どこも美味しそうな匂いが漂っている。一体どこで食べようか、迷ってしまうほどだ。

その時、前方に聞き慣れた声が聞こえた。

「よ!今日はぼっち行動かいな!」

振り返ると、そこにいたのは、元気いっぱいのすいれんちゃんだった。彼女の隣には、見慣れない少年と、昨日助けた瑠璃の姿がある。どうやら、すいれんちゃんのお友達らしい。

「すいれん、流石にいきなり目上の人に失礼だって…」

すいれんの隣にいた少年が、たしなめるように言った。彼は、どこか真面目そうな雰囲気を持っている。

「ああ!生徒会長!じゃん」

瑠璃がにゃももに気づき、目を輝かせた。その言葉に、すいれんの隣の少年は驚いて声を上げた。

「ええ!?生徒会長!?」

少年は、にゃももをまじまじと見つめた。そして、慌てたように姿勢を正し、ぺこりと頭を下げた。

「ちょっ!まずいじゃん!ちゃんと礼儀よく言わんくちゃ!」

彼の慌てぶりに、にゃももは思わず笑ってしまった。

「あーいいよいいよ!ここまで固くかしこまらなくても!友達だし」

にゃももは、親しみやすい雰囲気で言った。すると、すいれんが胸を張って付け加えた。

「そうよそうよ!なにせにゃももお姉ちゃんとすいは姉妹関係みたいなんだから!」

「いやそこまではたどり着いてないから…」

にゃももはすいれんの言葉にツッコミを入れた。血縁関係がないことは、昨日確認済みだ。

「それで、すいれんちゃんのお友達かな?」

にゃももが尋ねると、真面目そうな少年が自己紹介をした。

かずまです。よろしくお願いします」

彼はきちんとした口調で挨拶した。

「うちはさっきしたからスルーで」

瑠璃は、にゃももにウインクした。彼女は昨日よりずっと明るい表情をしている。

「すいも何度も会っているから今更だよねー」

すいれんもまた、得意げに言った。

「なんか僕だけ仲間外れ感がすごいような…」

かずまが小さく呟いた。にゃももは、そんな彼を見て、クスッと笑った。

「よろしくね、かずまくん!それで3人は、お昼はもう食べたかな?」

「いえ、まだ食べていなくて…今、どこにしようか迷っているんです」

かずまが答えた。

「ねぇねぇ、にゃももお姉ちゃん、いい飯ない?」

すいれんが、おねだりするように聞いてきた。にゃももは困ったように首を傾げた。

「うーん、そんなこと言われても、私まだ入学してから2日目だから、どこが美味しいとか、よく分からないんだよね…」

にゃももの言葉に、かずまがすかさずツッコミを入れた。

「それににゃももさんが言うセリフじゃん!」

その時、瑠璃が何かをひらめいたように声を上げた。

「お!あの中華店はどうかな?最近できたばかりみたいで、料理部がやっているって生徒会の間で話あったんだ!」

「料理部って、料理スキルだけ身につけると思ったけど、店まで展開しているのか…」

かずまが驚いたように呟いた。

「なんでもありだからね、この学園」

瑠璃は、この学園の常識を当たり前のように受け入れている。

「なんだか『料理部』というのがパワーワードね!よし、ここに行ってみない?」

にゃももは、その言葉に興味を引かれた。料理部が店を経営しているとは、まさにこの学園ならではだ。

「いいわね!じゃあにゃももの奢りで!」

すいれんが、即座にそう言い放った。その言葉に、にゃももは思わず「え…!」と声を上げた。昨日、食べ放題のスイーツで散々奢ったばかりだ。

「すいれん、流石にそれはあかんって!」

かずまが、すいれんをたしなめる。

でも思い出した…

「そういえばおこづかいについては…くろとに目をつけられていたんだった…」

すいれんが、何かを思い出したように、小さく唸った。その言葉に、にゃももは昨日のくろとの「監視社会」発言を思い出す。

「これぞ監視社会というやつか…」

にゃももは呆れつつも、笑ってしまった。結局、奢りは回避できたようだ。

こうして、にゃももとすいれん、かずま、瑠璃の4人は、料理部が運営する中華店へと足を踏み入れた。どんな料理が、どんな生徒たちによって提供されるのだろうか。にゃももは、新しい発見に胸を躍らせていた。

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